2015年9月7日月曜日

【俳句新空間No.2】神谷波の句 / 陽美保子


汗の身におそれおほくて輪島塗 神谷波
汗を拭きつつ、少し改まった席に着く。汁物の器は輪島塗。手にとれば高級な漆器にべとっと指紋が付いてしまいそうでとても手に取れない。まずはハンカチで汗を拭い、呼吸を整える。「おそれおほくて」の庶民感覚に読者はにやりとさせられる。調べ共々格調の高い〈拭ひてはもどる漆の春埃 長谷川櫂〉の漆の句とは違って、これもまた楽しい。