2015年7月6日月曜日

【俳句新空間No.2】 関根かなの句 /もてきまり


夏の夜の立入禁止といふわたし 関根かな
沈丁やをんなにはある憂鬱日 鷹女〉あるいは〈閉経まで散る萩の花何匁 池田澄子〉という句が示す通り、女性は周期的に訪れる悩ましい現象を抱えながら生きている。この句もそんな時の自分を茶化して出てきた句だ。「立入禁止」という言葉がとてもユニーク。〈優曇華に場所を移してよく眠れ〉そんな日は誰も来ない優曇華でよく眠るのがベストだ。〈元彼に似ているやうな飛蝗飛ぶ〉元彼≒飛蝗のポップな把握。〈軍艦の鮨はわけられないよ好き〉という口語。実に巧みな術者だ。〈太陽のちぎれて八月十五日〉の「太陽のちぎれて」というたった九音で昭和二十年八月十五日の全てを表現し得ている。なんびとも認める佳句だと思う。