表情を変えてゆく草花の瞬間があちこちに見える、そこはかとなくあたたかい表紙。
「花修」という名の句集のイメージが表れていると思う。
一点から見つめられる景色の、広いこと広いこと……花修の俳句からそんな風に感じた。
近くて見えていてもわからないこと。
遠くて見えないからわかること。
後になったら見えること。
現実世界を捕まえた美しく儚い標本のようでした。
元日の動かぬ水を眺めけり
水すまし言葉を覚えはじめけり
牡丹や飼い慣らされし片頭痛
祈りとは折れるに任せたる葦か
水吸うて水の上なる桜かな
【執筆者紹介】
- 山下舞子(やました・まいこ)
関西俳句会「ふらここ」