ひらく手の雪は光となりにけり 小澤麻結
(『俳句新空間No.1』 「新春帖」平成26年1月1日より)
全体二十句の中では心象的な印象の一句。題「ひらく手」はこの一句に拠るものである。掌で受け止めた雪がキラキラと輝いて見えた、ということなのであろうか?
手の中で雪が光に化してしまったように、筆者には読めた。雪が融解し、気化し、光波となってゆくイメージだ。それらの状態の変化が一瞬に起って手の中から光線が拡散して行く景を想像した。「なりにけり」と落ち着いた文語表現が古典の世界(例えば『竹取物語』のような)を連想させる。