俳句新空間 4x6
『俳句新空間』の「読む」シリーズ。 書評、句評を掲載していきます。
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2016年11月4日金曜日
【俳句新空間No.3】 中西夕紀の句 / もてきまり
土門拳亡し石炭の山もなし 中西夕紀
写真集『筑豊のこどもたち』を出した土門拳も今は亡く、またモノクロに映っていた石炭の山(ボタ山)も今はもう緑の山なのだが、土門拳と言えばモノクロ。石炭の山と言えばモノクロを想起させ、又、その述語で「亡し」「なし」と畳みかける技がすぐれて妙。他に〈彼岸から吹く北風もありぬべし〉子規、最晩年の〈鶏頭の十四五本もありぬべし〉を遠く想う。子規(死者)のいる彼岸から吹く北風もあるだろうなぁというほどの意だが、彼岸から此岸へ俳句という現場に吹く北風は厳しい。
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