俳句新空間 4x6
『俳句新空間』の「読む」シリーズ。 書評、句評を掲載していきます。
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2016年10月7日金曜日
【俳句新空間No.3】 秦夕実の句 / もてきまり
死者係御中こちら八手咲く 秦夕実
いくら長寿社会になれども、実際、七十歳を超えるとまわりに冥途へ発つ人が多くなる。そんな中、あちら様へ「死者係御中」と封書おもてに書いた。中の文面は「こちら八手咲く」つまりまだまだこちらで頑張る決意。季語「八手咲く」のみごとな使用例。題は「おさだまり」つまり「御」「定」で、最初の十句には「御」、あとの十句には「定」が兼題として入っている。冥途に発つ前に「御定(おさだまり)」ではあるが俳句でおもいっきり遊ぼうという隠し味。最後の句は〈冥府への定期便出づ木菟の森〉。
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