2015年6月25日木曜日

【俳句新空間No.2】  神谷波の句――いきものたちと人間の時間 1 / 佐藤りえ




名所の木陰にねむる通し鴨 神谷波

どこか名だたる場所を訪ね、ふとした木陰に眠る鴨を見た情景。鴨にとっては名所も名勝もないことだろう、水辺が保全されるなどして人が容易に近寄れないようなこともあるし、ならではの安全さを選んでそこにいるのかもしれない。通し鴨の束の間の休息に気づくのは、よそ見の楽しさのようでもある。