2014年10月24日金曜日

登頂回望・号外編(その3) [もてきまり]  /   網野月を 

七転びころびしままの黄巻貝    もてきまり

八百八町かげろふの縁貝の縁




(『俳句新空間No.1』 「新春帖」平成26年1月1日より)

 二十句が数え歌のように一から二十まで笠付けになっている。掲句はその第七句目と第八句目である。題も「二十吃(く)」となっている。季題は順不同であり、二十句の句意の統一性はない。折句、折端、笠付、などにその趣旨はちかいものであろう。一句一句の句意はそれだけに極めて幻想的で、捉えどころのない句に思えるが、二十句の総体として鑑賞すると、そこにレースのような質感が編み出されていることに気付く。一本の糸の捩れを追う読者を翻弄しているかのようだ。