2017年4月24日月曜日

【俳句新空間No.3】 夏木久の句 / もてきまり


西行をクリックすれば花ふぶき 夏木久
夏木さんのPCのデスクトップには「西行」というアイコンがあり、そこをクリックすると「花ふぶき」のごとく沢山の作品がでてくる様子を想像した。最近、『神器に薔薇を』というハンドメイドの句集を上梓されたのだが、句集自体そのものがオブジェのようであり、所収されている句も攝津幸彦が生きていたら、思わずニヤリとするだろう句が並んでいる。他句に〈鮮明な義眼の夢を水中花〉「鮮明な義眼の夢を」というひねりようといい、下五の「水中花」をさらにゆらゆらと揺らす効果として格助詞「を」で切る技が冴えている。季語を手放すことなく前衛的な試みをしている作家だ。