2017年4月23日日曜日

【俳句新空間No.3】 筑紫磐井の句 / もてきまり


アガペーもエロスもつどへ盆をどり 筑紫磐井
おおまかに言えばアガペーとは神の愛、無償の愛。エロスは異性間にある愛と言えるか。まぁ、ここでは色々な愛が集え(命令形)と言っている。そして「盆をどり」をご一緒にということなのだ。この「盆をどり」とは、句会、吟行、結社、同人誌の集い諸々である。俳句は、奇しくも他者がいなければ成立しない表現形式なのだ。加えて〈一流であつてはならぬ俳の道〉なるほどと思った。俳句で一流、二流というのはないのかもしれない。大先生も、時にとてつもない駄句(しかし駄句の魅力というものはある)を発表するし、攝津幸彦のように母上(攝津よしこ:S55角川賞受賞・代表句〈凍蝶に夢をうかがふ二日月〉)に攝津の句を電話で披露したら「なんだい酔っ払いの句かい?」と言われたエピソードなどを思い出した。この無記名の句が真ん中にある表現形式の不思議さとその恩寵のようなものをいつも感じさせられている。