2016年12月9日金曜日

【俳句新空間No.3】 神谷波の句 / もてきまり



久々に叩きをかける山眠る  神谷波
ここでは何に叩きをかけるのかが省略されていている事が面白い。最初布団に叩きをかけるのかなと思ったが、いや自分自身に喝をいれる意の顔に叩きをかけるかなとつぎつぎと想像してしまう。されど人が何をしようと「山眠る」。中七の「叩きをかける」の終止形と「山眠る」の二連続の「る」が句に強靭さを与えた。他句に〈初夢の鶴につつかれ覚めにけり〉そりゃあ、あなた、あの鶴の口ばしでつつかれたら起きてしまいますよ。しかし、その鶴は初夢の中のめでたき鶴で、良き目覚め。