沖萌えて一点透視せば産土 堀本 吟
題は「や!・椿闇・産土」である。前五句は句中に切れ字「や」を配置するように考案されている。中五句は「椿闇」のヴァリエーションである。後六句は雛、その他であろうか?掲句はその最後に配されている。その三句前「碑に海光映える雛流し」とあるので、流された雛の流れ着くだろう沖を想定して詠んだように、筆者は解した。しかもその沖が雛にとっての産土なのである。こう考えると、この雛はヴィーナスのように海の泡から生まれ出たものなのかも知れない。誤読をお許し願いたい。
「や!・椿闇・産土」【俳句新空間No.2】 2014(平成二十六)年[新春帖]所収